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概要

○目的
  精神病床に入院する難治性患者の地域移行を促進するため、治療抵抗性統合失調症治療薬等の専門的治療を実施・検討するための精神科病院と他科を有する医療機関とのネットワーク等、医療連携体制を構築することを目的とする。

○事業主体:岡山県

実績状況(R4年度)

①連携会議の開催

開催日開催場所参加者数内容
R5.2.10岡山県精神科医療センター
オンライン
14名岡山県でのクロザピン治療の実情報告、症例提示、CPMS登録医療機関新規登録について、効果的なネットワークの構築についての協議

②先行事例研修会の開催

開催日開催場所参加者数内容
R5.2.10岡山県精神科医療センター オンライン29名先行事例・症例発表
(発表者)
岡山県精神科医療センター 佐藤涼太
岡山大学病院 精神科神経科 馬場悠花里

③職員派遣による研修

開催日   開催場所参加者数                                内容
R4.6.12 オンライン100名日本臨床精神神経薬理学会 第8回臨床精神薬理教育セミナー
スマートな精神科薬物療法を行うために知っておきたい知識~向精神薬の整理・中止、薬物相互作用、TDM~クロザピンのTDM      矢田勇慈
R4.7.8オンライン(希望ヶ丘ホスピタル)6名希望ヶ丘ホスピタルにおける、電気けいれん療法使用体制の構築に向けた会議
麻酔科医の確保や、機材の購入について
R4.7.21オンライン30名熊本県精神科協会学術講演会
クロザピン最適使用のためのエッセンス 矢田勇慈
R4.10.7オンライン200名精神科認定看護師の会「多職種スキルアップセミナー」
クロザピンの「なぜ?」がわかる!~抗精神病薬の選び方の実際~  矢田勇慈
R4.11.9埼玉県久喜すずのき病院 オンライン20名久喜すずのき病院院内クロザピン研修会
①当院におけるクロザピン使用の実際 矢田勇慈
②当院におけるクロザピンの地域連携 八田智美
R4.11.25オンライン50名第74回 九州精神神経学会ランチョンセミナー
クロザピンのすべて 矢田勇慈
R5.2.17オンライン(東京都・陽和病院、成増厚生病院)50名これからの統合失調症診療を考える会
クロザピン処方のルールと実際 矢田勇慈

④医療機関との連携状況

■令和4年7月には、県北の希望ヶ丘ホスピタルと電気けいれん療法使用体制の構築に向けた会議を実施したほか、令和5年2月には連携会議を実施し、県内のクロザピンの処方状況や症例について検討・共有を行った。会議では活発に意見交換が行われ、情報共有が促進された。

⑤クロザピン血中濃度測定について

■クロザピン血中濃度測定及び保険収載
⇒岡山県精神科医療センターにおいては、岡山県内各ネットワーク機関および県外の医療観察法指定入院医長機関等より依頼を受け、クロザピン血中濃度測定を実施していたが、R4の診療報酬改定において、治療抵抗性統合失調症の治療を進めるため、クロザピン血中濃度の測定が保険収載された(令和4年3月4日保医発0304第1号 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知 別添1 P.463)参照)。
 このことにより、当院が事業として実施していたクロザピン血中濃度の測定は、今後検査会社に外注しても採算が取れることとなった。この診療報酬改定を受け、クロザピンの製造を行っているノバルティスファーマ社を介し、全国に支社をもつ検査会社の(株)LSIメディエンスから当院に4月の段階で測定方法等に関する問い合わせがあり、7月8日に当院測定担当の北川薬剤師がWEBミーティングによりアドバイスを行った。そこでは、手順と方法、最終投与からの採血の時間、測定ニーズの見込み値などにつき、これまでの豊富な実績から蓄積されたノウハウを惜しみなく伝達した。また、測定方法の質向上のための文献提供等も行った。
 検査機関が血中濃度測定の体制を整えるのが実質的に8月以降であったため、R4年度においても、岡山県精神科医療センターにおいて、100件の測定を実施し、今年度末には完全に外注体制が整備された。
 血中濃度測定の保険収載については、今まで様々な機関が実現を試みながら実現に至らなかったところ、当院の長年の難治性事業としての地道な血中濃度測定データの集積と、学会等での発表、さまざまな場所での意義の発信が実を結び、現実のものとなった。クロザピンは治療抵抗性統合失調症に有効であることが知られながらも、その副作用のコントロールの難しさから普及が遅れていた歴史がある。副作用モニタリングに欠かせない血中濃度測定が保険の対象外であったことが、クロザピン治療の普及の大きなネックになっていたが、血中濃度測定が保険収載されることで、医療経済的に成り立つようになり、血中濃度測定の普及率が上がることが見込まれる。これにより、安全なクロザピン導入が日本全国で可能になり、治療が大衆化・普及する、という流れになる。
 この影響は岡山県内にとどまらず、全国的に広がることから、この保険収載のソーシャルインパクトの大きさは計り知れないものである。岡山県の難治性事業においては、ネットワーク機関内で症例についても随時共有しており、県内全域でクロザピン治療に関するリテラシー向上に取り組んできたため、今後、患者の地域移行促進の流れはさらに発展することが期待される。また、全国に「岡山モデル」の取り組みを発信し、医療の地域格差の軽減に資する役割も求められている。

⑥Webによる事業の啓発及び情報発信について
■情報共有システムKintone(キントーン)の利用促進
R4年度は、過年度に引き続き、情報共有システムKintone(キントーン)を利用して、ネットワーク機関の現場スタッフがタイムリーかつダイレクトに相談をすることができる体制を整備した。当院に研修依頼があった場合は、Kintone上で多職種のスタッフが知見を持ち寄り内容を検討し、アウトプットの質を高めた。出前講義や研修においては、岡山県が事業としてIT化に取り組み成果を上げている事例の紹介を盛り込み、クロザピン治療の普及にはデジタル技術の活用も効果的であることを示した。
 院内においては、Kintone上でクロザピン治療のエキスパートスタッフの知見を集積し、これからクロザピン治療を導入する機関向けの教育用資材を開発する準備を進めている。

■Googleアナリティクスの導入及びデータ分析
令和元年度に設置した当該事業のランディングページには、ウェブデータの分析ツールであるGoogleアナリティクスを組み込んである。設置されてから経時的にデータを集積しているが、R4年度もデータを分析し、ウェブサイトの情報を利用している人の居住地や年齢等の属性、また、どのくらいの時間閲覧しているかを分析した。それをもとに、今後どのような情報をどのような形で提供していくかを立案する材料とする。県内のどれくらいの人に情報が届いているかが見える化されるため、事業遂行にあたり、費用対効果の検証にも役立つ。

サイトURL:https://www.popmc.jp/clozapine/

また、岡山県精神科医療センター公式YouTubeチャンネルに、当該事業で作成したクロザピンに
ついての動画をアップロードしているが、2022.3.29~2023.3.31現在で、1808回の視聴があった
(前回は2021.3.24~2022.3.28で934回)。またリーフレットに動画ページのリンクを印刷し、
県内の精神科医療機関等に送付してアクセス数の向上を図る。


⑦リーフレットによる事業の啓発及び情報発信について
患者配布用リーフレットの内容を更新し、事業ページや普及啓発用動画へのリンクをQRコード化したものを載せることで、情報へのアクセスを向上させる取り組みを行った。

こちらもご覧ください

本事業については、下記のページに患者・家族の方へ向けたページも作成しております。

https://www.popmc.jp/clozapine/

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